株式会社いわいハウジングの代表取締役であり一級建築士の資格を持つ岩田邦裕さんは、やさしい語り口ながら、その内容はとても力強いものでした。 健康住宅、高気密高断熱という言葉はよく耳にしますが、こんなに丁寧なお話は初めて。それもそのはず、サーモグラフィや気密測定試験機で実測までしてしまう社長さんは同業者向けの講師まで務めるそうです。日本の住宅の基準は世界的に見ても低く、日本は危ない!と心配されています。

住宅専業の会社をやりたくて

材木商がたどり着いたのは「木のぬくもりを感じる省エネ・健康住宅」 中途半端な気密化が問題を引き起こしていることは常識だと思っていたら……。

材木商の三男だった祖父 岩田伊三郎が創業したのが「岩伊商店」です。本家との差別化を図って、良質木材だけを扱うという材木商でした。私も自分で会社を経営するようになって祖父の想いがやっとわかりました。
父が建築士を取得して、公共工事や事務所、工場、店舗、住宅などの建築工事もする会社になりました。 私は、上場している建設会社で、耐震技術などを応用した製品を開発する研究開発をしていましたが、一級建築士の資格をとったのをきっかけに、こちらに戻ってこないかと言われまして。こちらに戻ってから大学で教えてもいました。良質の木材を活かした家を建てる会社にしたくて、私が「いわいハウジング」という名前にしました。現在は、木造注文住宅の設計・施工、耐震改修、断熱改修と木材販売をしています。

もともと、材木商ですので、木のぬくもりを感じる家を得意としていました。それだけでは足りないものを感じて、研究した結果、たどり着いたのが、「木のぬくもりを感じる高気密・高断熱住宅」でした。住宅の高気密化に20年も取り組んでいると、中途半端な気密化がシックハウス等の問題を起こしていることは、世の中の常識になっていると思っていました。業界内でも、まだまだこれからだということに最近、気づきまして(笑)
うちは、1999年に満足のいく高気密・高断熱住宅が完成し、以来、改良を加えてきました。近年は、超高気密・超高断熱のレベルの家づくりをしています。 超高気密・超高断熱住宅は、省エネ・健康住宅であることが実証されて、ますます注目を集めそうです。実は、その実証も手伝っています。近々、国土交通省から調査結果の発表があります。

ずっと取り組んできたからこそ

ご家族が健康に暮らすためには、換気が大切なんです。
掃除機のホースを思い浮かべてください。

人が生活していると人の呼吸や洗剤、防虫剤などによって部屋の空気は汚れていきます。健康に暮らすためには、汚れた空気を排気して、きれいな空気を吸気する換気が必要です。実は、窓をあけても風がないと換気でないんです。しかも入ってくる空気がきれいとは限りません。だから、換気扇で風を起こして汚れた空気を排気し、フィルターでホコリを取り除いたきれいな空気を吸気口から取り込むことになりました。しかし、換気扇を回しても、その建物がすき間だらけだとあまり換気できないんです。

掃除機を思い浮かべて頂くとわかるのですが、掃除機のホースに穴があいていたらゴミを吸えないですよね。換気扇も同じで、すき間の多い建物だと吸気口から入ってくるきれいな空気よりも換気扇周りのすき間からの入ってくる空気が多くて、部屋の空気は、あまり入れ替わりません。建物のすき間の量は、すき間相当面積(C値)として実測が可能です。C値が小さいほど、すき間の少ないことを意味します。

近年の一般的な木造住宅は、中途半端な気密化が進んでしまってC値は「5」程度と言われます。換気の重要性に気づいたハウスメーカーなども「C値2以下」を目標に取り組み始めています。C値「2.0」でもフィルターを通して入ってくる空気の量は、換気扇が排気する空気量の30%でしかないというデータもあります。
うちは、高気密・高断熱住宅を始めた最初の建物のC値が「0.61」で。以来、全棟測定して、改良を重ね、最近はC値「0.2以下」を達成しています。ただ、その数値は完成後にわかる通知表のようなものなので、公には C値「0.5以下」としています。C値「0.5以下」になると、取り込む空気の大半がホコリのないきれいな空気になります。そして、C値「0.5以下」の超高気密住宅になると換気管理以外にも、湿度のコントロールが可能になったり、断熱性能が上がったり、外の騒音や吹く風が気にならなくなるなど、住む人にとっての快適性が増してきます。

調湿効果のある素材で仕上げたうえで、換気がちゃんとできると、空気の流れができ、建物の中の湿度が安定するんです。

小児喘息の患者が増えています。喘息を含めたアレルギーの原因は、ダニ、カビ、ウィルスと言われています。アレルギー症から家族を守るには、ダニ、カビ、ウィルスを増やさないことです。そのために有効なのは、湿度の管理なんです。
湿度が70%を超えるとカビとかダニが増え、30%以下になるとウィルスが繁殖します。ということは、建物の中は40~60%で安定させるというのが一番です。そのためには、内装に調湿作用のある自然素材を使うのが有効です。それに加えて、部屋の中を常に空気が流れる状況を作ることが重要になってきます。空気が動けば水と熱も動きます。湿度をコントロールするためにも換気扇が機能を果たすかが重要になります。そして、お話したように換気扇でしっかり換気するためには、建物の気密性が重要になってきます。

空気が常に流れていると冬に乾燥しすぎると言われる方がありますが、空気が常に均一に循環している家は加湿器を使うと家中の湿度をたやすく均一にすることができます。つまり、すき間のない気密性能の高い家が湿度のコントロールが可能な家ということになります。カビやダニの増殖に関しては、換気に加えて結露させないというのも重要です。そのために断熱性もご家族の健康にはとても重要になります。

うちは、お客様に断熱性や換気性、気密性で、こういう数値の性能だから、こういう間取りがおすすめですとお伝えしています。この性能だから、ここに吹き抜けを作ることで空気の流れができて、より快適になるんですという具合です。

いかに質の高い空気を提供するか

人が身体に取り込むものの57%が暮らしている家の部屋の空気!部屋にきれいな空気が満たすことができれば、ご家族の健康に役立つ。

人が身体に取り込むものの85%は空気です。全体の57%は暮らしている家の空気です。飲料は全体の8%で食べ物は7%に過ぎません。そのうえ、口から入るものには分解機能があるんですが、空気に対する解毒作用は持っていないんです。ですから、家の中にいかに質の高い空気を提供するかがご家族の健康にとって、とても大切なんです。

人は生活していると呼吸や洗剤などで部屋の空気が汚れます。だから、換気が必要です。換気というと窓を開けるのを想像されるんでしょうが、それでは、外の汚れた空気を取り込むことになってしまいます。そうならないためには、建物の気密性を上げて、換気扇を使用して、フィルターで汚れを取り除いた空気を取り込む必要があります。

中途半端に気密化された家は、換気扇を回してもすき間から汚れた空気が入ってしまって、きれいな空気は入ってきません。昔のような、スカスカのすき間だらけの家は、風が吹けば換気できますが、外の汚れた空気が入ってきてしまいます。
気密性能が高い家の場合、換気扇のフィルターがどんどん真っ黒になってきます。フィルターが汚れた分だけ、部屋に入る空気の花粉やPM2.5などのホコリがとれているわけです。フィルターを見ると、今まで、こんな汚い空気を吸っていたのかと驚かれます。気密性能が高くないとフィルターはあまり汚れません。

ご家族の健康のために冷暖房に適した家をつくることが求められています。

昔ながらの家が日本の風土にあっているので、良いのではないかという質問をいただくことがあります。吉田兼好が「家の造りやうは、夏を旨とすべし」と書いた時代は、夏に亡くなる人が多かったからです。現代は、晩秋から年末にかけて亡くなられる人が急上昇し、寒さ厳しき真冬がもっと多いです。その多くは寒暖差で血圧が変動したことによる心疾患や脳疾患です。数十年前から暖房器具が普及したことで家の中に寒暖差が生じるようになりました。暖房機器を使うことを想定していない家で無理に暖房しようとしたことで部屋の天井近くは熱いのに足元は冷たいという状況ができてしまいました。そして、暖房された部屋から廊下に出ると寒いという状況になってしまいました。これが健康を損なう原因になっています。

人が快、不快を感じるのは、部屋の空気温度である室温ではなく、人の周りを取り巻く床・壁・天井と室温の平均値である体感温度です。暖房器具で温められた空気によって、床・壁・天井が温まる家はとても快適です。断熱性能が低いと熱が逃げてしまって体感温度は上がらず、不快です。そのうえ、水蒸気を含んだ温かな空気が冷たい窓や床、壁に触れて結露します。これは、アレルギーの原因となるダニ・カビの温床になります。

断熱性能がよい家の人は、エアコンの設定温度が22度ぐらいでも薄着で暮らされています。体感温度も同じくらいの温度なのでとても快適です。断熱性能が高い上に冬の太陽光を土間に蓄熱するようにした家の人に暖房すると暑いぐらいと言われてしまいました。2月のすごく寒い日に定期検診にうかがって朝9時にサーモグラフィで土間温度を測ったら19度くらいありました。前日の太陽熱がまだ残っているんですよ。暖房がなくても暖かいはずだと納得しました。

スマートウェルネス住宅

住環境と健康の深い関係。

健康・省エネ住宅に取り組んだきっかけは、自分が住んでいるところも寒かったので、快適な暮らすために改善する必要があると感じていました。こんな時に阪神淡路大震災が起きて、住宅相談員として現地に入る機会をいただきました。みなさんが避難所で凍えておられるのを目の当たりにして、家というのは丈夫で、なおかつ、暖房が無くても、ある程度しのげる断熱性能が必要だと感じました。
当時から高断熱工法であったのですが、コストは度外視のものばかりでした。自分で研究すれば、コストをかけずに高性能な家が造れると商社の人に教わって取組みました。高気密・高断熱住宅を建てるチャンスを最初にいただいたのは1999年でした。

住環境は健康に深く関係していて、温かい家に住み替えただけで、病気が改善されるというデータがあります。国土交通省からも高血圧が改善されると発表されました。このデータ集めには、私も参加しています。国土交通省のスマートウェルネス事業というのですが、愛知県で最初にこの事業の交付を受けたのは、当社です。そういう関係で名古屋大学での市民向けセミナーで慶応大学 伊香賀教授、愛知医大 柴田教授とともに登壇させていただきました。

高気密・高断熱住宅は、健康・省エネ住宅であるということがデータから実証されてきました。環境問題の先進地ヨーロッパでは当たり前のことなんですけどね。省エネというのも住宅の大きなポイントです。最近、経済産業省は、ゼロエネルギーハウス(ZEH)の普及に力を入れています。わたしは、ZEH基準より上のHEAT20 G2基準を薦めています。その理由は、建築費と30年間の光熱費でG2基準がもっとも安くなるからです。ご家族が健康で医療費もおさえられた上に30年間の光熱費でもとが取れるからわけですからおすすめするのは当然です。

株式会社いわいハウジングの代表取締役であり一級建築士の資格を持つ岩田邦裕さんは、やさしい語り口ながら、その内容はとても力強いものでした。 健康住宅、高気密高断熱という言葉はよく耳にしますが、こんなに丁寧なお話は初めて。それもそのはず、サーモグラフィや気密測定試験機で実測までしてしまう社長さんは同業者向けの講師まで務めるそうです。日本の住宅の基準は世界的に見ても低く、日本は危ない!と心配されています。
取材:2016年11月16日

社名

株式会社いわいハウジング

住所〒491-0844 愛知県一宮市八町通2丁目4番地
TEL0586-71-3800 FAX:FAX0586-71-3801
営業時間8:00~18:00(定休日:日曜祝祭日)
URLhttp://www.iwaihousing.com