「口コミで選ばれている工務店です」。そう語ってくださったのは、株式会社イトー住建・代表取締役 伊藤博さん。業者さんからの信頼も厚いそうで、紹介も多いとのこと。社員さんの資格取得にも積極的で、人を大事にする会社という印象を受けました。

若い世代を育てる

今は私が3代目

当社を創業したのは祖父です。祖父は丁稚から大工を始めたそうですが、途中で大東亜戦争が始まってしまい、徴用で大工からは離れたらしいです。でも昭和22年くらいに今の土地を買って、会社を興したと聞いています。その後は2代目として父が引き継ぎ、今は私が3代目です。そういう家系ですので、私も子供の頃から普通に現場に行ったり仕事を手伝ったりすることが当たり前のような環境でした。

大工さんを取り巻く環境

父の代で請負業に変わったので、自分は大工ではなく主に設計の方へいきました。今、大工さんを取り巻く環境は厳しくなっていますね。そんな中、この間「大工になりたい」という19歳の若い子が当社を訪ねてきてくれました。話をしていると、「雇用保険はありますか?」ということを聞かれました。親御さんから確認をするよう言われたみたいですね。なるほど、そういう時代なんだなと思いました。これを皮切りに、ちゃんとしていかないといけないなと。「保証があること」、「安全なこと」、親世代も非正規社員が多い時代だから、社員大工として雇って欲しいという声が増えたのだと思いますね。

その彼は、「お金はうちが負担するから当社のほぼ専属の親方の子方」ということで、雇ってもらう形で今話を進めています。若い世代の職人が育つのに、少なくとも3〜4年はかかるものです。雇う側も雇われる側も、我慢できるか?ですよね。

100点のない仕事

設計施工は全て自社でやっています。もちろん私も設計しますし、お客様とも普通にお話をさせていただいています。つい先日も、分譲住宅のご案内をさせていただきご契約していただきました。分譲を始めたのは先代の頃からです。この辺りは地主さんが多かったので、土地を売っていただいてそのお金でお子様の家を建てたとか、そういうお付き合いが始まりだったみたいです。

長く地元でやっていると、私が思っている以上に信頼感はあるのかなと思います。それでもお引き渡し後に「こうしてあげたらよかったな?」と思うことはしょっちゅうです。思わないことはない、と言ってもいい。やはり家づくりは奥が深い仕事ですので、100点という事はこの先もないのだと思います。

口コミで選ばれている工務店

完成見学会やるの?

当社を訪ねてくださるお客様は、出入りの業者さんのご紹介が結構多いんです。一般のお客様からの紹介はむしろ少なくて、これはなぜだろうと気になって調べてみました。そこで思い当たったのが「口コミ効果」です。だって「すぐそこ」にある工務店だから、わざわざ紹介とかいらないわけです。話の流れで名前が出て選ばれているということです。実際、完成見学会やイベントごとは他社に比べるとやや少ないと思います。お客様に「完成見学会やるの?」と聞かれて「いや、特にやらん」と返事をして驚かれました(笑)。でもまあせっかくだから、やらせてもらおうかというくらいの感じです。

職人さん業者さんに敬意をもって接する

それでも毎年やっているイベントがあって、それは「お客様感謝祭」と「業者様慰労会」です。まず業者さんにもお手伝いしていただいて「お客様感謝祭」を催します。それが終わったら今度は「慰労会」という形で当社が業者さんをもてなします。私が自分で段取りして、買い物して、料理もやって。夜はエンドレスで続いていきます(笑)。
職人さん業者さんに敬意を持って接することは、社員にも常に言っています。彼らなしでは家が建たないですし、良い仕事なんてできませんからね。

人間同士のお付き合い

当社の営業スタイルは「三河屋さん」

何年か前のことですが、当社の営業スタイルはこれだ!と思ったのは、サザエさんに出て来る「三河屋さん」。道で出会って頼まれ事をされたら「あいよ!」と応える関係。こんな感じがいいですよね。「お客様は神様」といった感じで接するのは、ちょっとお互い肩が凝ると思います。そういう付き合い方をしていると、社員も疲れちゃうと思うんです。ストレスで、外での人格が変わってしまうんじゃないかと(笑)。ですので大げさにしすぎず、地位や立場以上に人間同士のお付き合いを心がけています。

会社のためにもなる個人のスキルアップ

ひとつ社員によく言うのは「資格を取りなさい」ということ。そこでの費用は会社が持つから、不動産に関わる資格を持ってプロとして接客しなさいと。今年は1人一級建築士を取りにいかせて、去年は2人施工管理技士になりました。個人のスキルアップは会社のためにもなりますので、こうした部分には出し惜しみしないつもりです。おかげ様で定着率は高いので、長く働いてもらえています。

FPの家

家づくりの標準化

父の代では、図面を大工に手渡して「あとは頼む」という感じでした。大工さんは手刻みだったので、人によって若干違いも出ていました。でもそれではいかんということで、家づくりを標準化させていきました。そこでいくつか選択肢がある中、1番ピンときたのが「FPの家」です。

この事務所もそうなんですが、実際に暖かさを体感してもらうとお客様には驚かれますね。床と天井の温度差が2度あるかないか、という感じです。ちなみに約90畳ですが、8畳用エアコンを2台運転させているだけで十分暖かいですよ。計測する機器があるので、お客様のご自宅と比較していただければ一目瞭然です。光熱費も当社にあるモニターで、今日どのくらい消費したかがわかるようにしてあります。お客様には実際のデータを提示して、具体的に考えていただきたいと思っています。

FPは坪単価でいうと7〜8万は高くなるので、お客様には普通の間取りと選んでいただけるようにしています。始めたばかりの頃よりも実績がある分、受け入れてもらっていると実感していますね。

職人さんにとっては建売も同じ仕事

以前モデルハウスとしてFPの家を作ったんですが、すぐ売れてしまったのは計算外でした。本当は何回か使う予定だったので(笑)。もう1度やろうと思うとまた半年くらいはかかりますし、費用は自社で出すので「うーん」という感じ。とはいえ、これもまた職人さんにとっては同じ仕事です。 注文住宅だと、どうしても建てる時期などお客様の都合に合わせる必要がありますので、タイミングによっては仕事に空きが生まれることもあります。その間に彼らに離れてしまわれては当社としても困る、そういう意味でも建売をやっている部分はありますね。

家づくりに関して、私から何かを強く言うことはありません。言うとしたら、「こういうのがありますよ」というアドバイスはさせていただきます。私が喋り倒すより、ちゃんと聞いて話してもらった方がいい。そういう中でご予算なども合わせつつ、一緒に考えていければと思います。

取材:2017年1月25日

社名

株式会社イトー住建

住所〒509-0146 岐阜県各務原市鵜沼三ッ池町3-313
TEL058-384-0558
URLhttp://www.itojuken.com