法定相続分で分けないとダメですか?

相続と言ってまず出てくる言葉は「法定相続分」です。配偶者(妻または夫)と長男・長女が相続人の場合には、配偶者が2分の1、子供はそれぞれ4分の1ずつです。
さて、「法定」相続分という表現から必ずこの割合で遺産を分けるべきだと思われがちですが、本当でしょうか?しかし「あそこの家は財産を全部長男が持っていった」「子供のいらっしゃらなかった○○さんは、兄弟が全員放棄して奥さんが相続したらしいよ」こんなお話を聞きますよね。
民法上、相続人(上記の場合は配偶者・長男・長女)は相続が開始(死亡)した瞬間に法定相続分に従って権利義務を承継します。しかし、分割方法については相続人全員で話し合えばどんな配分でも分けることができます。その配分を証明するものが、遺産分割協議書となります。(遺言書があれば遺言書が優先です)
この協議が整わなければ家庭裁判所で調停・審判といった手続を行うことになり、最終的には裁判所が法定相続分で分割する審判を行うことが多いようです。
「法定相続分」で分けるのは、本当に揉めた場合の最後の分割方法です。紛争の可能性がある場合には遺言書を検討しましょう。

遺言書と遺産分割協議書ってどちらが優先?

遺産の分け方を決めたのに、遺言が発見された!こんなことが稀にありますが、どちらが優先されるのでしょうか?
結論としては、「遺言書が優先されます。」但し、遺言で財産をもらう方と相続人全員の同意があれば遺言と異なった内容の遺産分割を行うことができます。
※遺留分には注意が必要です。
こういったことが無いように、遺産を分ける際にはまず遺言書を探す必要がありますが、どうやって捜すのでしょうか?
よく聞くのは、自宅の仏壇、小物入れ、銀行の貸金庫、信用できる友人に預けている、また公正証書遺言の場合にはお近くの公証役場で検索することも出来ます。
後々のトラブルを防ぐためにも、遺産分割をする前に「遺言書の捜索」をしておきましょう。そして遺言書が見つかった場合には、専門家に相談しましょう。

借金も相続の対象になりますか?

「相続」というと何となく預金や不動産といったプラスの財産を相続するというイメージをもたれる方が多いと思いますが、借金というマイナスの財産も相続の対象になります。
プラスの財産だけを相続して、マイナスの財産(借金)は相続しないという選択は、残念ながらできません。
多額の借金が残る場合は、相続放棄の手続きを家庭裁判所ですることができます。相続放棄をすることで、場合によっては相続順位が繰り上がり、思わぬ借金を背負うことになる親族が出てくることもあります。このような親族の方もまとめて相続放棄をすることをおすすめします。

私は遺言書を残した方がいいの?

人はそれぞれ家族構成、生活環境等が異なりますので遺言の必要性も人によって変わってきます。今回は遺言が無ければもめる可能性が高いが、作成しておけば遺言の効力を存分に活かせるケースをご紹介します。
それは、夫婦に子や孫、父母、祖父母といった、下の世代も上の世代もいないが、兄弟姉妹がいるケースです。この場合、夫が亡くなったときの法定相続人は妻と夫の兄弟姉妹になりますから、夫の財産は妻と夫の兄弟姉妹が共有することになります。夫の預貯金はもちろん、終の住処と思っていた夫名義の自宅もです。妻が夫の財産全てを相続するには夫の遺言が絶対に必要になります。もう一度言いますが絶対です。兄弟姉妹には遺留分がありませんので、遺言を作成しておけば財産全てを確実に妻に残すことができるのです。

後妻の連れ子に相続の権利はある?

よくある相続トラブルの事例をご紹介しましょう。
夫は10年前に先妻を亡くし、私は子供を連れてその夫と再婚。夫がなくなった後、財産を分けようとしたら、なんと、後妻である私の連れ子には相続権がないことが判明 。
結婚をすれば、連れ子は自動的に実子として認められるんじゃないの?そう勘違いしている人も多いのではないでしょうか。
しかし、再婚しただけでは、戸籍上、後妻の連れ子は夫の実子とは認められません。正式に養子となるために、夫と連れ子との間で養子縁組をして役所に届け出なければなりません。実際に養子縁組をしているかどうかは、役所で戸籍を取得して確認すれば分かります。
では養子縁組をしていない場合は一切財産をもらえないのでしょうか。仮に養子縁組をしていない場合であっても、遺言書で後妻の連れ子に財産を与える旨を書いてもらっておけば大丈夫です。
再婚する場合は、養子縁組届の申請を忘れないようにしましょう。

孫が不動産を相続することは可能ですか?

「父が亡くなり、長男の自分が相続する土地建物ですが、どうせ自分が死んだらまた名義変更しなければいけないので、1回で私の息子(亡くなった父から見ると孫)が相続することは可能ですか?」
まず、遺言書が無い限り、亡くなった方の財産を相続できる方は相続人に限られます。従って、1回で息子さんへ名義変更することはできません。
どうしても名義を息子さんにしたい場合は、次の手順を行います。
①(亡くなった)父→長男(自分)へ相続登記
②長男(自分)→息子への贈与の登記
※贈与税・不動産取得税が課税されます。
②にかかる贈与税は場合によって数百万円になることもありますので、あまりお勧めできません。
税金のことを考えると、手続は1回1回行うべきなのかなと思います。
祖父がご存命でしたら、遺言書で「孫に遺贈する」と書いてもらえば直接名義変更することが可能です。

遺言書って1回しか書けないんでしょ?

「遺言って1回しか書けないから内容を良く考えたいんですよ。」という方がいらっしゃいました。
確かに遺言の内容を良く考えるのは必要ですが、実は遺言は何回でも書くことができます。同じ内容の文言があった場合は日付の新しいものが有効となります。この点は意外に知られていなかったりするので、お話しすると「え?そうなんですか?」と驚かれます。
遺言の理想は、成人したら一人1通書いておき、結婚や出産、マイホーム購入など、大きな出来事がある毎にメンテナンス(修正)を行うことです。
※メンテナンス時、後々の混乱を防ぐ為に必ず古い遺言書は廃棄して下さい。
毎年正月に遺言を書かれる方もいらっしゃいます。一度皆さんもご検討を。