6月の終わり、雨が降り出す直前の蒸し暑い日に東白川のモデルハウスに伺いました。
玄関を入ると空気がスッとしている感じがします。涼しくてさらっとした空気感、木の香りも心が癒されます。エアコンもついていないのに、この快適さは魅力です。
大工さんが協力的だったことも良かったですね。それからも一軒として同じ家がないくらいに、ずっと進化し続けていますから、大工さんからもうこれ以上は勉強したくないなんて言われるくらい(笑)。
でも、実は大工さんも仕事が楽なんです。というのは、建てている途中の現場は、ふつう夏は暑くて冬は底冷えして大変なのですが、この現場にはそれが少ない。
初めて建てた時は心配でしたね。外壁に何種類も重ねて貼っているから、近所の方も一体どんな家ができるのって(笑)。でも、完成したらその家の人が「すごく気持ちいい、冬でも17度以下にならないし、3階の部屋でも同じように暖かい」と。仕様は今とは雲泥の差がありますが、すごく喜んでいただけました。
40坪の家なら6帖用のエアコンが1台あれば、十分です。以前、どうしても心配だから床暖房をつけるという方がありましたが、結局は使ってみえないそうです。なにしろ毛布は要らないし、薄着でいいので、身体が楽ですね。
結婚して2人で仕事を始めて40年になります。子供が4人いましたし、商売をしながら、田んぼも畑仕事もしなくてはいけない。若かったから無我夢中でしたね。仕事は1年に1棟か2棟くらい、私自身で造っていました。その頃は紹介でお仕事を頂いていましたから、1軒建てると、そのお隣が建てて、そのまたご近所という具合、お客様同士で順番を決めたりされて(笑)。法人にするまでは、現場監督もいなくて大工さん以外は2人だけで何もかもしていました。徐々に忙しくなって、人が増えて、これまでに建てた家は560棟ほどになります。
愛知のお客様が多いので、メンテナンスのために江南に営業所を設けました。
最近どこでも、何年保証とか打ち出していますが、きちんとした仕事をしていたら、10年くらいで悪くはならないです。うちでは最初から保証付きです。40年前からあたり前にしてきました。過去40年やっている業者は少ないと思います。
最初の頃のお客様から電話があれば、「もしもし」という声を聞いただけで、どなたかわかるくらいです。結婚式にもよばれたり親戚付き合いみたいにしている方も多いです。 息子さんや娘さんが家を建てる場合は、ほとんど依頼がきますね。介護のための改修工事も多くなりましたね。
「やもり通信」というのも、2か月に1回の発行で85号になります。「家守」やもりという言葉を住宅に使ったのはカミさんが1番最初だと思いますよ(笑)。
家は長く快適に住み続けて頂くためには必ずメンテナンスが必要です。 家を建てさせていただいてその後ハウスドクタ-として家を守り続けさせて頂きたいとの想いから「家守り」やもりの会をたちあげました。OBのお施主様全て会員になって頂いています。住宅ができるには大工さんだけでなく実に様々業種の職人さんの力が必要です。その協力業者の方たちも最初の1件からの付き合いの方も多く、「ミノワ会」という会を立ち上げています。
2年に1回、「やもりの会交流会」を開いていますが、これはお客様同士の交流という意味もありますが、協力業者であるミノワ会と客様の交流会でもあります。ミノワ会の会員の協力を始め、バンド演奏をして下さる方、野点をして下さるお茶の先生、お茶席のお菓子を作って下さる和菓子の職人さん、子供さんの遊びを考えて下さる方、様々なお施主様の協力も頂けて盛りだくさんの楽しい会になっています。
今年も500人ほどの方が参加してくださいましたが、これ以上になると安全上心配なのでご家族の方限定にさせていただいています。これから建てる予定の方はお断りしているので、紹介してくださる方は「家を建てたら一緒に行こうね」って誘ってくださるみたいです。
最近はインターネットで調べていらっしゃる方も多くなりました。ハウスメーカーとバッティングするときは、仕事中の現場と完成した現場を一度見てから来てもらうようにアドバイスします。よく勉強されている方ほど、うちを選ばれるようですね。他社の見積もりを見る前に、決められる方もあるくらいです。
お客さんにもご予算があるので、お客さんの予算に合わせて最大限のものができるように努めています。それぞれの断熱材の長所と短所を伝えたうえで、選んでもらうようにしています。譲れる部分と譲れないところがあるので、ご予算のない場合は真四角な家でいいので建ててくださいと言われることも。そうなると頑張ってしまいますね(笑)。
ラフプランは私と、他に3名営業件設計士がいますが、どんな生活をしたいのかを必ずお聞きして、それを考えて、自分だったらどんなふうにすればいいかを考える。
家のデザインはお客様の好みにあわせてモダンなものも建てます。フローリングにどんな木がいいかどうかも、それぞれ樹種の特徴をご説明したうえで、お客さんに決めてもらいます。可能な個所はできる限り収納を設ける、収納部分には必ず杉板など無垢板をつかうのも家のこだわりです。収納がたっぷりあれば、スッキリとした空間で暮らせますから。
完成見学会で実際の家をご覧になる方もあれば、このモデルハウスまでいらっしゃる方もあります。うちはお客さんが協力的なので、20年前の家でも見せてもらえます。実際に住んで家を見学できるのは、とても参考になりますし、住んでいる方の本音を聞けることも大いに家づくりの参考になるようです。
写真には写っていませんが、家のあちらこちらに温湿度計が設置され、土壁の中の温度・湿度までも計測されていました。
取材中、外の雨音が全く聞こえない静かな室内でしたが、2重ガラスの樹脂サッシを開ければ、川のせせらぎなど、音が1度に耳に入ってきます。室内の空気も気持ちがいいので、窓を開け放つ必要がないんだとか。
笑顔の似合うアットホームな雰囲気のお二人のファンもきっと多いはずです。
取材:2016年7月4日
社名 | 株式会社ミノワ |
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住所 | 〒509-1431 岐阜県加茂郡白川町黒川2478-6 |
TEL | 0574-77-1255 |
URL | http://minowa.biz |
このモデルハウスは宿泊体験ができるようになっています。この高気密高断熱の快適さを一晩泊まって体感して頂くことができます。キッチンがついているので、自炊もできますし、外のバーベキューコーナーを利用してもらうこともできます。自宅とつながっているので、カミさんの手作り料理を召し上がって頂けます。
居心地がいいみたいで、なかなか帰ろうとされないくらいです(笑)。
この高気密高断熱を採用して既に23年になります、平成5年からですから、かなり早い方だと思います。それまでは数寄屋造りにこだわっていましたがが、この省エネ住宅に出会って転換し、高気密高断熱に特化しています。
きっかけは、建材屋さんが愛知、岐阜の工務店を集めて開いた勉強会です。23年前には断熱の意識はなかったですね。ですから、結局その時集まった中で採用した会社もありましたが、続けてきた会社はほとんどなかったと思います。その当時、まともにやると坪単価が7万円くらいアップしてしまうから、自分のところの経費を削減したり、すごく努力しました。