木を愛し、住宅を愛し、人を愛する。倉野社長の言葉の端々から、そんな想いがにじみ出るかのようでした。今回取材させていただいたのは、材木問屋から始まった株式会社広和木材様。その出自を活かした、在来工法を得意とする注文住宅の会社です。神社仏閣も手がける実力を持つ大工さんを擁する実力派であると同時に、地元の人々に親しまれる会社でもあります。「人がどう生きたのかが大事だと思う」。そう語る社長の笑顔が、何より社風を表しているように感じました。

地域のつながりを大切に

オープンハウスや工場見学は今では当たり前に行われていますが、私どもの創業当時では珍しい催しでした。それを早くから採用したのが、私の弟であり現・専務の義和です。そうした取り組みもあって、地域の皆様から注文住宅の依頼を数多くいただくことができました。当社付近90世帯ある内の半分近くは、私たちが手がけた住宅です。このようなご縁もありまして、夏休みの時期には木工工作の宿題をやるために工場まで遊びに来ていただける光景もよく目にします。

見学会

見学会や内覧会は、繰り返しやることに意味があると思います。イベント毎にたくさんのご来場があるので大変といえば大変ですが、その一つ一つが私たちの仕事や木材の良さを伝えるための大事な場所です。少しでも関心を持っていただいて、ご依頼をいただけることが出来たなら何よりですね。

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余談ですが、広和木材で中心となって仕事をしてくださっている、この道40年の大工さんのお父さんは、私の親父と友達でした。世代をまたいで付き合いのある信頼関係があるのも、私たちの特徴かもしれません。

まず、木の良さをしってもらいたい

もともとの始まりが材木屋だったこともあり、やっぱり原点は「木が好き」というところにあります。工法や間取りがどう、という前にまず「木材の良さ」をお客様には知っていただきたいんです。
たとえば法隆寺は、1300年も存続しています。それは、ヒノキで建てられているからです。こんなに長持ちする建築物は、世界でも例をみないですよね。そんな素材が国内にあるのに、使わないのはもったいない話です。しかも木材は自然の恵みですので、人工素材と違ってエネルギーゼロで利用できる素材です。こういった木材の良さを、お客様だけでなく住宅業界全体に啓蒙していきたいと思います。

家づくりは、結婚と同じようなもの

お客様にとって、家づくりは一世一代の大仕事です。だからこそ、当社以外のいろんな会社やメーカーさんも見てきてくださいとお話しします。そのうえで、広和木材を選んでいただけたのなら、もちろん私たちは全力でお付き合いさせていただきます。一軒一軒に、全力で向き合っていくことが私たちの姿勢です。 たくさんの工務店や建築会社がある中で、巡り会えることは奇跡だと思うんです。結婚と同じですよね。だからこそ、家のお引き渡しが終わったあとも末長くお付き合いさせていただきます。お客様に感動を覚えていただいてこそ、初めていい仕事をしたと言えると思います。そのために必要なことは、家づくりに携わる全員が一丸となり、プロ意識を持って精一杯の力を出し切ること。そしてそれが出来ていることが、私の誇りです。

紹介受注100%を目指して

昔から掲げている目標が、「紹介受注100%」です。お客様がお客様を呼んでくださるような会社であり続けなければいけないと思いますし、家を建てよう!という時に、あそこの会社はやめた方がいいなんて言われることが絶対に無いように、誰に聞いてもあそこが良いと言っていただけるよう心がけています。

20年ほど前の話ですが、ある歯医者様の別荘をこの近くに建てさせていただいたことがあります。それがきっかけでずっとお付き合いが続き、三重県にあるクリニックの補修、ご子息兄弟の2軒の家、そして開業される小児歯科まで建てさせていただきました。こうした長いお付き合いが多いのも、私たちの自慢の一つです。
ご家族みんなに喜んでいただける家づくりを考えると、どうしても熱くなってしまう性分なんです。おかげ様で中津川だけでなく、小牧にも支店を出させていただいて愛知県内で家づくりをさせていただくことも多くなりました。これからも原点をしっかり大切にして、お客様と共に成長し続けたいですね。

広和は棟梁制度を守っています

大工さんが、なりたい職業1位だった時代がありました。法被を着こなし、カンナを操る姿は格好よかったものです。しかし今は足場に囲まれ、中でどんな人がどんな仕事をしているのかもよく分かりません。寂しい話ですが、家電屋さんでも家を注文できてしまいます。
そんな時代ですが、広和では信頼できる職人さんが家を建てています。素材のことをきちんと理解した大工さんが、責任をもって仕上げます。棟梁の目に適わない木材があれば、それが使われることもありません。万が一現場監督がいない場合でも、家づくりを熟知している大工さんなら滞ることなく現場は進みます。お施主様のことを一番に考えた家づくりを、協力業者さんも含めた全員で大事にしています。

最後は「人」だと思うんです

私たちの企業理念は、「広和に関わる全ての人が幸せになること」です。先日うちの女子社員が、営業担当したお客様からお褒めの言葉をいただきました。挨拶も良いし、すごく頑張ってると。そんな話を聞くと、私は非常に嬉しく思います。自分のこと以外を褒められるのが、一番好きですね。

仕事は食べていくためだけにするものではなく、楽しんでするものだと思っています。だからこそ、社員たちには思ったことは遠慮なく言い合える関係でいてもらいたい。ちょっとしたことでもどんどん発言することで、現場にもいい雰囲気が生まれます。もちろん大工さんや協力業者さんも同じで、打ち合わせにはしょっちゅう来てもらっています。それは家づくりにも反映されて、結果的にお施主様のためになります。

トヨタの会議では自分の失敗談も話すと聞きます。私たちも同じです。お客様にも職人がどうだとか、僕に対することでいい、イヤなこと、気になることは、何でも遠慮なく言ってくださいとお願いしています。在庫管理や顧客管理だけうまい会社ではなく、人間同士の関わりを大事にする会社でありたいですね。

材木屋さんからの出発というお話に納得。すばらしい材木の数々。

芯持ちの間伐材を垂木に有効利用。木を知り尽くした会社ならではの使い方です。

2邸分を同時に加工できる作業場。ここまで広い作業場を持つ工務店はめずらしい。

広和木材さんの熱い想いをいろいろ伺い、最後の最後に家づくりの工法についてお聞きしたところ、「家づくりは日本一耐震性能の高いものを目指しています。ダイライト工法で、地震があったらこの家にいてくださいという家です。うちの設計部からはやり過ぎと言われています。」とのこと。何もかもにも熱い倉野社長さんでした。次回は大工さんが集まる会にも伺いたいと思います。

取材:2016年10月11日

社名

株式会社広和木材

住所〒509-9131 岐阜県中津川市千旦林446番地
TEL0573-68-5050
URLhttps://kowamokuzai.com/MiteMite