住んでどう感じるかを大切にしたい。そう語るのは岐阜県土岐市で店を構えて半世紀以上、地元の方々に愛され続ける水野建築 代表取締役社長 水野孝冶さんです。 車で30分圏内の施工にこだわるのは、アフターフォローこそ大切だと考えるから。その徹底ぶりのため、時には遠方のお客様をお断りすることもあるそうです。信頼できる社員大工さんたちや、四代目を担うであろう息子さんと、今日も真摯な家づくりへ邁進します。

自社の社員大工さんが
いることが自慢です

水野建築は、もともと材木屋で大工として働いていた父が独立して興した会社です。その際に他の大工さんに声をかけ社員として雇用したそうです。その当時、社員の大工は珍しかったと思います。そうしたスタッフを大事にする社風を僕も引き継いでいます。もちろん今も社員大工を抱えていますので、施工技術には自信を持っています。またベテランだけでなく若手も育ってきているのも自慢の一つです。

大工を志す若者の一助になればと、国土交通省が主導する「大工育成塾」にも加盟していますが、ここから当社に就職してくれた大工もいます。まだ29歳ですが、大工としてはもう11年のベテランです。

また、岐阜の国際たくみアカデミーから体験に来てくれた20歳の子は、4月に入社して半年経ちました。熟練の大工さんから見れば子供のようなもので、手取り足取り教えている最中です。
仕事ができるようになるまで10年かかるといわれていますから、社員として抱えるのは大変なのですが、大工を育てることも私たちの役目と思っています。

51年の信頼はアフターフォローのたまものです

私が家業を継いだ頃から、土岐市の人口は8000人以上減少しています。そんな状況でもお客様にご依頼いただけるのは、やはり地元で50年以上やり続けた賜物だなと実感しています。父の代から受け継いだものを守り続けているからこそ、お客様も世代をまたいだお付き合いをしてくださっています。親子二代にわたって、新築をお願いされることも少なくありません。
水野建築には営業マンというものを置いていないので、なおさらそのありがたみを感じますね。

特に信頼して頂いていることの一つには、アフターフォローがあると思います。もし何かあれば、施工に携わった腕の良い大工が道具を持ってすぐに伺うようにしています。車で一時間以内に大工が駆けつけることができれば、大概のトラブルには対処できます。
そのため、エリア外でのお客様からご相談をいただいた場合は、その方の地元の工務店をお勧めする場合さえありますね。こう言うとみなさま驚かれるのですが、アフターフォローを考えればやはりお客様のためにはそれが良いと思うからです。一人一人のお客様とはご縁あっての出会いですので、最善と思うご提案をするだけです。

もっとも大切なのはどう暮らしたいかを聞き出すこと

家を建てる時、つい部屋数がいくつと考えてしまいます。でも、大切なのはどう暮らしたいかです。例えば「食洗機」。なぜ、食洗器が必要かということです。単に「家事の負担を減らしたいから」というだけではなく、食器を手洗いする時間を減らして、夕食後に「家族と過ごす時間を増やすため」に役立つのでお勧めするわけです。

お打ち合わせの段階ではお客様のイメージがはっきりまとまっていないので、よく話し合うことは非常に重要です。そこで住み始めてからの生活を具体的にしていけば、自ずと家の中身も具体的になっていきます。何気ないやりとりの中から、その真意を見出し、ご要望を形にすることが、私が大切にしている「ヒアリング」です。
そして、私自身が図面を描いて、現場監督をしますから、大手メーカーさんにありがちな伝言ゲームのような間違いもありません。

最近は、ホームページをご覧になっていらっしゃる方もありますから、WEBなどで発信する言葉と私自身がイコールであること、営業マンのいない当社にご相談いただいたお客様が、実際に私と会って違和感を覚えるようではダメですよね。私の人柄に惚れてもらい信頼してもらわないといけません。そのためにも日々、より良い家づくりのための勉強は欠かせません。現代の感性と自分の感性にズレが生まれないように、フレッシュな状態をキープしていきたいですね。
ほとんど休みのない仕事ですが、好きでやっている仕事ですので、全く苦ではなく、すごく楽しいです。

一番大切なのは、暮らしてみてわかる「住み心地」。

新しい家に暮らしてみて「以前の家とは、エアコンの効きが違う!」と、すごく実感していただけます。でもこればっかりは、外からではわからないのが残念です。耐震構造に関しても同じですね。

お客様にも最初にしっかり説明させていただくのですが、月々支払う金額は、「住宅ローン+光熱費」ということです。断熱環境をきちんとすると、光熱費に大きな差が出ます。安い家は光熱費が高くなり、良い家は光熱費が安くなります。このことをちゃんと知って頂いて、「安物買いの銭失い」にだけは絶対になってほしくないのです。
ですから当社では、お客様の生活をシミュレーションしてエネルギー計算をし、データとして参考にしていただきます。朝起きて暖房の入っていない状態でも15℃ある家だといいですよね。最初にきちんと断熱材を入れて光熱費を抑えつつ、一年を通じて心地よい家に住んでいただきたいと願っています。

社会に出て最初の3年間はゼネコンで修行させてもらいました。役所仕事、改修の仕事が多かったので、今の家づくりの仕事はすごく楽しいです。 断熱に関しても、当時は、業者さんに依頼するだけだったのが、今では細かいところまで気になり、目につくところは自分で手直ししたりもします。まだまだ勉強中ですが、毎日が楽しいです。

取材:2016年11月11日

社名

有限会社水野建築

住所〒509-5122 岐阜県土岐市土岐津町土岐口2255-227
TEL0572-54-1342
URLhttps://mizuken1342.com