そのモデルハウスに入った瞬間に感じたのは、本物の自然素材が生み出す心地よさ。
4つの倉庫にストックしてある材木の豊富さと在庫の多さは、岐阜随一とのことです。それは職人さんや材木屋さんとの厚い信頼関係なくしては、実現できないものかもしれません。
今回は株式会社アイギハウジングの代表取締役社長 保母龍興さんと、営業部長 西尾考史さんに、家づくりへの想いを伺います。
保母さん
アイギハウジングは、「自然素材を活かした本物の家づくりをしたい」という想いから、36歳の時に立ち上げました。
西尾さん
私もせっかく自然素材をたくさん扱える会社に入ったので、それを活かした家づくりを追求したいという想いが強いですね。
保母さん
一枚板のテーブルにカウンター・・・やっぱりいいと思いますよ。アイギハウジングは「木」の好きなお客様に集まってもらえればいいなと思います。
保母さん
弊社の特徴はやはり、「天然素材の家」。 例えばこのモデルハウスの壁は、クロスではなくてひのき入りの塗り壁です。火山灰シラスという砂とひのきを混ぜ合わせたものを塗っています。ひのきには安眠効果もありますし、蚊も来ないんですよ。消臭効果もあるのでトイレにもいいですね。もちろん、アレルギーの人にも喜ばれます。これは休みの日に、西尾君と二人でいろいろ調合してみて開発しました。
そして、もう一つの特徴は腕の良い職人を抱えていることです。実はこの壁も元々は、「土壁の文化を塗り壁に」という発想で始まっています。そうすることで、左官屋さんにも腕前を発揮できる仕事が発生するからです。弊社では二代目、三代目と続いている方も多いんですよ。
西尾さん
「型」の押し売りではなく、お客様のご要望に自由に応えられるのも良いところだと思います。私が以前ハウスメーカーで営業をしていた頃は、そこが歯がゆい部分でしたから。
保母さん
そうですね。しっかりしたものをお客様に提供しようとすると、どうしても棟数は限られてきますね。ですので、私たちは年間20〜30棟くらいの家づくりをしています。
西尾さん
これくらいの棟数ですと小回りもききますし、一人ひとりのお客様と細かい打ち合わせもできますしね。特に弊社に来ていただけるお客様は「人とは違うもの」あるいは「同じ型でも自分らしさを出したい」、そんなこだわりのある方も多いですから、打ち合わせをしっかり行うことが大切だと思っています。
保母さん
確かに、うちのお客様にはそういう傾向がありますね。こだわってくると「メーカーさんでは物足りない」または「メーカーさんでは対応できない」ことが多くなるものです。その点、私たちは職人のレベルも高いので、まずなんでも対応できる自信があります。これからはさらにそういうお客様が増えるんじゃないかな。
保母さん
そんな一つの例として、「大黒柱」があります。実は太い柱を入れても、計算上の強度は変わらないんです。しかし、建前をするとその丈夫さがよくわかります。すごくしっかりしてるんです。建築基準法では差がなくても、やはり細い柱と太い柱では全然違います。このことは現場で扱っている大工さんが一番よく知っています。地震が来ても折れにくいですよね。やっぱり家には、大黒柱があった方がいいんです。
西尾さん
材木をご提案する際は一緒に倉庫まで行って、直接見ていただきながら決めます。そうして家が完成してから喜んでいただけると、私もホッとしますね。特に若いお施主様の場合、違いの判るご両親やご親戚の方からほめられると「本当に良いものなんだ」と嬉しくなるみたいです。
保母さん
うちの家は入った瞬間、五感で違いがわかりますから。なので、展示場やオープンハウスに慣れた方にも非常に感動していただけますね。
保母さん
天然の素材を使うとどうしても高いのでは思われますが、そこは、少しでもお値打ちに提供できるよう、常に努力しています。質にこだわりつつも、やはり価格が高すぎてはいけないので。 目の肥えている職人さんが、実際にうちで自邸を建ててくださることは自慢の一つです。
保母さん
山に無理を言ってはいけませんが、コストを下げるために大量に買うから少し安くしてとお願いしたりもしています。だからうちの材木は材木屋さんより安い場合もありますし、在庫量も豊富です。大量に買い付けて、四つの自社倉庫で保管してと、いろいろやっています。
西尾さん
倉庫は工務店の規模じゃないですよね。
保母さん
最初は銀行にも怒られましたよ(笑)。でもこれは資産ですからね。木というのは乾燥させて材として使えるまでに、10年はかかるんです。しかも一本ずつ個性が違う。だからメーカーさんは絶対無垢を使わないし、使えない。やりたいと思って、パッと真似できることではないんです。それに自前で持っておけば、マージンも抑えられる。結果的にお客様に価格の面で還元して喜んでいただけます。努力しないと良いものは提供できないということです。
西尾さん
メーカーさんの家は完成した時が最高ですが、本物の素材で作った家は、10年20年経ってからの質感が全く違うんですよ。
保母さん
材木屋さんとの信頼関係も、何十年の付き合いですからね。例えば、山を自分のところで育てている材木屋さんから「買ってほしい」と電話がかかってくることがあって、その時に「いいよ」って答えれば本当にいいものを入れてくれます。信頼関係があるから「見なくてもOK」というくらいにやっておけば、ちゃんといいものを出してくれます。
実際にこの地域は木材に恵まれていて、特に「東濃ヒノキ」は全国的にも有名です。ですから、そんな「東濃ヒノキ」をはじめとする天然木の家をお値打ちに建ててくれる会社ということで、ネットで検索していらっしゃる方もありますね。 恵那が中心ではありますが、名古屋市、春日井市からもお客様が訪ねてくださいますね。あとは設計士さんからの依頼も多いです。
西尾さん
最近は、リフォームも多くなってきましたね。新築を受注するにしても、土地からご提案しないと難しくなってきています。例えば古い町並みの中に土地がぽつんと一つあっても、欲しがる人は少ないでしょう。かといってデベロッパーが作るような町単位の大きい区画は、この地域ではやれません。私たちのような建築屋が、小規模な団地を作ることに意味があると思います。このモデルハウスもそうですが、一つの固まった区画をお作りすると新生活を始めるご家庭にも安心かなと思います。
保母さん
古民家再生を依頼されることもあります。昔の家は基礎など無いことも多々あるので、曳家的なこともしたりします。そして、どうせやるなら耐震や断熱も・・・となると、古民家は腕のいい職人なくしては難しいです。
西尾さん
正直、建て替えた方が・・・と思うこともあります(笑)。でもそういうご依頼をくださるお施主様は、家そのものに思い入れがある方が多いんですよね。だからこそ、腕のいい職人さんが揃っているおかげでお応えできていると思います。
保母さん
うちの監督は大変だと思いますよ。通常は他者に丸投げする部分も、管理しなきゃいけないから。おかげで現場に鍛えられた若手が、かなり育ってきています。社員がみんな優秀なんですよ(笑)。でもみんな想っていることは共通していて、「お客様にいい家を提供したい」だけなんです。そのために、真剣に家づくりに取り組んでいます。
これはいつも思っていることなんですが、「住宅づくりは聖職なり」です。建てた家は一生残っていきますから。私が生きている間は、必死でやり続けるだけですよ。
本当にお客様のためにいい家づくりをしたいという思いが伝わってきました。それにしても拝見した倉庫内にある素晴らしい材料の多さに圧倒されたのですが、他にまだ3つの倉庫があると聞いてさらにびっくり!
年に2回の棚卸が大変なんです。とおっしゃっていた意味がよくわかります。でもそれらも全てお客様のためなんですね。
取材:2016年12月8日
社名 | 株式会社アイギハウジング |
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住所 | 〒509-7201 岐阜県恵那市大井町1134-82 |
TEL | 0573-26-1567 |
URL | http://www.aigihousing.co.jp |