今回取材に伺ったのは、名古屋市南区の株式会社井藤工業様。祖父の代から受け継いだ土木や公共工事のノウハウを武器に、成長を続ける会社です。
「え〜、インタビュー!?」と、最初は取材に戸惑っておられた井藤光順社長。どうしてもとしつこい私たちに、「じゃあ少しだけ」と応えてくださいました。
そして息子の井藤好象さんと妻の由紀子さんに、新たに立ち上げたという住宅部門、「Shall We House」についてもお話をお伺いしました。
もともとは1日いくらの日給で働いていたという社長。請け仕事を始めてから、さらに建築を猛勉強されたそうです。
「その時にお世話になった諸先輩、一緒に頑張ってくれた仲間に応えるため必死にやった結果が、現在の井藤工業です。」
そんな身内の大切さを知る社長だからこそ、好象さんが住宅を始める際は「夫婦でやらないなら、やめとけ。その部分は何があろうと大事。」と考えたといいます。
そうして立ち上がった住宅部門、「Shall We House」については、「二人に任せた事業であって、今後どうしていくか自分は一歩下がって見ている。」とのこと。
「でも二人が成長する間、私も知識や経験は増す。つまりその分、見方も欲張ってしまう。なかなか「丸」はあげられない(笑)」と、経営者としての厳しい言葉も。
「とにかくうちは従業員も含めて、地道にコツコツやってきた。そういう部分が支持されてここまでこれたのは、まぎれもない事実。だからこそ堅実に仕事をする姿を見せて、認めてもらうことかな。」
そんな父の背中を見て育ち、井藤工業のDNAをしっかり受け継がれている好象さんにも、住宅部門「Shall We House」や、色々な想いをお伺いしました。
井藤工業さんの成り立ちを教えてください
好象さん
祖父がブロックを積む仕事をしていたのですが、土木工事もするようになったのが始まりです。そこから社長である私の父が事業を拡大して、建築工事や公共工事を手がけるようになりました。そういう経緯から、今でも当社のメインは土木です。
なるほど。では住宅もやり始めたのはなぜですか?
好象さん
お客様から頼まれたのがきっかけだそうです。外構工事などをしていた時に、「家を建ててみない?」という風に。そこからぽつぽつと住宅のお話をいただくようになったと聞いています。今は私が住宅担当でやっています。
最初からご実家を継いで、住宅を始めるおつもりでしたか?
好象さん
実は大学を卒業後、別の建築会社に5年ほど勤めていた時期があります。当時は実家を継ぐ気なんてなかったんですが、色々思うところもあり戻ってきました。
奥様の役割分担は?
由紀子さん
主に事務ですね。打ち合わせには呼ばれた時には同席するという感じです。あとは育児中に宅建の資格をとらせていただいたので、不動産を担当しています。でも住宅や建築に関しては、正直まだまだです。だからこそお客様のお話を、素人目線・主婦目線から伺えるので、主人とは違ったアドバイスもできるのかなと思います。
好象さん
当社の住宅部門の名称、「Shall We House」も妻が考えてくれたんですよ。住宅をやるにあたって、「井藤工業」では少しカタいなと思っていたので気に入っています。
由紀子さん
この名前には、私たちが「あなたと一緒に素敵な家づくりをしたい」という想いを込めました。
お客様とはどういう風に話を進めていくのでしょう?
好象さん
まずはお客様が何を望んでおられるのかを、しっかりお伺いします。ネットでたくさん情報を集める方も多いですが、プロの視点でメリットデメリットを明確にアドバイスさせていただきます。
また「家具や棚だけでなく、建具も造作にしてオリジナリティを出したい」「インテリアコーディネイトを考えている」などのご相談も承ります。その後、平面図や3Dパースを見ながら、一緒に楽しんで家づくりをするというスタンスですね。
意匠設計まで担当される?
好象さん
私はプランニングまでで、意匠設計は提携している設計士の方にお願いしています。その中で最近一緒にお仕事をさせていただいた女性の設計士さんは、妻の伝手でご縁をいただきました。この方とはセンスがよく合うので、販促関係までお手伝いいただいています。
由紀子さん
良い家だから必ず売れる、というものでもないのでいかにアピールするかは大切だと思いますね。
OB様とのお付き合いも多いんですか?
好象さん
そうですね。最低でも年に一回はご挨拶に伺います。そうすると、建具の調子が悪かったり、高所の電球が交換できない等、やっぱり何かしらのお困りごとがあったりするので、きちんと相談に乗らせていただきます。完成後もずっと家族が快適に住まえる、そんなアフターフォローを大切にしたいです。そういう意味でも、こちらから伺うことは大事だなと思いますね。
ご主人は口数が少ないですが、普段でもそうですか?
由紀子さん
そうですね。よく喋るのは、私と社長です(笑)。
好象さん
正直、営業は苦手なんです(笑)。
由紀子さん
でも、そういうところが結果的にお客様から信頼いただける、のかもしれません。たとえばお客様から何か相談されても、「まだ大丈夫」「まだもったいない」「子供の成長を待ってみてから」なんて。すぐ商売に繋げることをしないんです。私が言うのもおかしいかもですが、そこがいいところだなと思ってます(笑)。
ガンガンこられても嫌な方って多いですよね。
由紀子さん
私もそうなんですが営業したその時は好印象でも、やっぱり時間が経つと忘れるものですよね。フォローの電話一本でも入れたらいいんですけど、相手の方もイヤかなと思ったりして。なかなか躊躇してしまうんです。
好象さん
お客様とも話していても、もっとアピールしたらいいのにと言われます(笑)。たとえば自分では当たり前だと思ってやっていることも、意外とそうではないこともあるみたいで。たとえば現場管理は私が一棟一棟、最初から最後まで責任を持って行います。細かいところまでちゃんと目が行き届いていることが、安心感につながっているようです。
由紀子さん
目に見えない部分まで、とても丁寧な会社だと思います。土木にしても、いろんな賞をいただいてます。私も教わるまで知らなかったような良さ、素人目には分かりにくい部分の良さもたくさんあるので、そこをなんとかアピールしていきたいです。
これからやっていきたいことを教えてください。
好象さん
住宅部門「Shall We House」としての住宅の取り扱いはまだ始めたばかりですので、もっと年間棟数を増やしていきたいですね。OBさんはこの学区内が多いので、口コミでも広がっていってほしいです。
また、2017年には当社初めての試みとして尾張旭市にて分譲プロジェクトをスタートさせました。このような新たな企画にも取り組んでいきたいですね。
由紀子さん
不動産を扱えるのは、強みの一つだと思います。土地探しはとても難しい時代ですので、そこを強化したいですね。一言に「土地探し」と言っても、ライフスタイルによって変わってきます。ちょうど今も親しい方が土地や家を探していてそのお手伝いをさせていただいているんですけど、やっぱり家づくりって人生においてとても大きなことだなと再確認しました。私たちがやっている仕事は責任重大だと、改めて感じましたね。携わった方みんなが、良かったなと思ってもらえるように仕事をしていきたいです。
好象さん
そして最終的には、土木事業と建築事業と一緒になって、町を作りたいと思います。造成工事から始まり、道をつくり、いくつかの区画をつくり、家を建てる。そういった、「町をつくる」ことは父の夢でもあるので、それをどうにか叶えたいですね。
取材:2017年10月11日
社名 | 株式会社井藤工業 |
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住所 | 〒457-0804 愛知県名古屋市南区源兵衛町4丁目30 |
TEL | 052-613-0480 |
URL | http://itohkogyo.jp/ |