今回お話いただくのは、青年時代イギリスでアーティストとして活動しておられたという、株式会社タカオホームソリューションズ代表取締役・野尻大名さん。知的な静けさに見え隠れする情熱とユーモアが、家づくりにも反映されているように感じました。新しい試みにも意欲的で、聞けば聞くほど引き込まれるインタビューでした。

住宅事業の誕生

私どもタカオグループは父が創業した「株式会社タカオ」が始まりです。
その後分社化して、3つの子会社に分かれました。
そのうちの一つが弊社「タカオホームソリューションズ」です。
もともとは喫茶店からビジネスホテルなど大小問わず商業施設を手がけていました。そうしたご縁で、地元の地主様とは良いお付き合いをさせていただいてきたのですが、メイン道路から一本入った商業に不向きな土地を活用するために、住宅事業が誕生しました。

「甘え」から「ガムシャラ」に

若い頃の私は家業を継ぐ気もなく、学生時代はイギリス留学して絵画を学んでいました。卒業後は、学校で教えながら、アーティストとして活動していました。
でもイギリスのアートシーンに嫌気がさしたこともあり、帰国して他社に就職しました。ですから岐阜に帰った時は楽しくなかったですね(笑)。
その時、稲盛和夫さんに相談の手紙を出したんです。そうしたら素晴らしい方で、なんと返事が返ってきた。
「お前は甘えている。とりあえず今の仕事を一生懸命頑張ってみなさい。やり続けたら、面白さややりがいが生まれる。ガムシャラにやってみなさい」という内容でした。
その後、忙しくなったこともあり、アドバイス通り没頭していたら家づくりの面白さがわかってきました。

分譲住宅で、私たちのアイデアを提案

分譲住宅だからこそのこだわりを

現在のメインは分譲住宅ですが、そのクオリティはかなりこだわったものです。
分譲住宅こそ、私たちがこうしたいというアイデアを一番提案できる場所だと思っているからです。
プロの観点から、実際の生活に即した考え抜かれた住宅です。
素材も設備もデザイン性でも、単なる建売住宅という考え方ではありません。こうあったらいいなというアイデアがつまっています。
ですから、完成する前に買い手が決まってしまい、モデルハウスのように多くの方にご覧いただけないのが残念です。

「こんな家に住みたかった」に応える

分譲住宅でのこだわりを見たお客様から、「注文住宅も」というお声をよくいただきます。
私たちとしても、今後は注文住宅を中心にしていきたいと思っています。
これまでのスローガンは「あったらいいなをカタチにしました」だったんですけど、そこにプラスαして「なくても良かったんじゃない」を付加しようと思っています。

注文住宅の本当の魅力

以前、壁のタイルだけで40万円くらいかけたモデルハウスを作った時に「私はこんな家に住みたかった。こういう自分のお気に入りの場所が家にあると優しくなれる。子供たちがいたずらしても気持ちがハッピーになれるので、優しくなれる」とおっしゃった方がありました。住環境が人に及ぼす影響って、すごいんだなとハッとさせられました。
また、家を建てたいと思った時、広いベランダは一つの憧れです。
バーベキューをしたり、ちょっと遅めの朝食を楽しんだり・・・。
でも現実には、あまりその機会はなかったりします。洗濯物を干すにしても、室内で乾かしたほうが衛生的にもプライバシーの観点からもおすすめです。ですから最初からベランダは小さく設計しようということも考えられます。
注文住宅のメリットは、お客様のご要望を可能な限り叶えることができることですが、逆に言えば結果的に普通の家になりがちなこともありますので、お客様が気づかなかった魅力を伝えて本当に暮らしやすい家を作っていきたいです。

新しい企画を積極的に

他社のOBママたちのリアルな声を集めた家づくり

現在私たちが展開している3つのメインラインが、「カーサマジック」「グレイスフル・プリメゾン」「和のスミカ」です。
特に「カーサマジック」は、「ママの声」から生まれた「ママ設計の家」。
弊社の女性設計士が考えた、「自分が母親として家事や子守をする上で住みたい家」というコンセプトが始まりです。
とはいえ、「ママ設計の家」は今やどこにでもありふれたものになっていて、中には、会社の販売戦略にすぎないものも多々あります。
だから現在私たちが進めているのが、全くの素人の女性を公募して、その意見を最優先した家づくりをするという「ワガママハウスプロジェクト」です。
集まった女性たちは、「すでに持ち家がある」あるいは「現在進行形で家を建てている」方たち。当然私たちのOBではなく、それぞれ全く別会社で家を建てておられます。
もちろん参加してもらって、そのまま顧客になってもらおうという下心もありません(笑)。いわば一つの実験に近いことをやっています。
その様子はHPでもご覧いただけます。

実験といえば、社内でも「男の家」vs「女の家」という企画を始めます。今は女性目線の家が流行していますが、今後は男性目線の家の時代がくるかもしれません。 こうした企画を積極的に展開して、新しい試みを発信し続けたいと思っています。

「古いけど新しい」こと

家族でくつろぐリビングこそ、畳を

「和のスミカ」は、リビングを畳にしてはどうかと提案、和風の暮らしの良いところをモダン住宅の中に再現しています。
これは私の「日本人は床族」説から生まれました。リビングにはソファ、センターテーブル、テレビボードがあるのが一般的ですが、実際の暮らしを見てみると、子どもたちは床でゴロゴロと本を読んだり、遊んだりしている。お父さんも寝転がって片肘ついてテレビを見たり、冬はコタツがメインとなって床で座り、ソファは背もたれとして使われているなんていう光景をよく目にします。かくいう私の自宅でも、家族は床にゴロゴロしています(笑)。
だったら畳のほうが落ち着けるし、「最初から和室でいいじゃん」という発想です。
そして、もう一つ理由があります。それはママたちが、「実はあまりリビングを使わない」ということ。

リビングでワイワイするのは子供たちで、ママたちはダイニングテーブルで過ごすことが多いことに気づきました。彼女たちがリビングでくつろぐのは、家族が寝静まってようやく一人になれた時間などにかなり限られてるなと。
ですからリビングを和室にする方が、本当は実用的だと思っています。
でもまだまだ「間取りイコール4LDKフローリングリビング」といった先入観が根強いのも事実です。
「古いけど新しい」この試みを、なんとか広げていきたいと思っています。
畳は掃除しづらかったりダニが発生するイメージがあると思いますが、和紙の畳を使えばダニが発生することはまずありません。
また段差のないフラットな作りなので、掃除もしやすいです。

当社のこだわりのポイントは、畳のスペースを少し高い位置に設定していること。これはハウスダストなどが床から5cmくらいの高さに滞留するといわれるためです。
それに、寝転がった時に、脱いだスリッパが目線に入ることも防いでくれます。
実際に暮らす家族のために詰め込んだ多くのこだわりを、これからもどんどんアピールしていきたいと思っています。

岐阜ブランドで進出したい

今後は名古屋や静岡エリアにも進出していきたいと思っています。
ですが無理に拡大するのではなく、私たちの商品を確立させて自然発生的に広がっていくようなやり方をしたい。
たとえば岐阜には東濃ヒノキや美濃和紙など、全国に通用するブランドがたくさんあります。
食材や建材など健康的な暮らしに関わるものは地方発にこそ、安心感のあるものが多い。岐阜ならではの良さを活かした展開をしていきたいですね。

社名

株式会社タカオホームソリューションズ

住所〒500-8227 岐阜県岐阜市北一色3丁目9番地21号
TEL058-248-3537
URLhttp://takao-hs.com/