木津川市が相楽郡だった当時から「家ではなく町」を作ってきたという創業者の意思を受け継ぎ、今も地元密着で活躍する工務店があります。それが株式会社KOSEIさんです。
めまぐるしく変化するこの時代に、「木津川といえばKOSEI」という看板を守りつつ何を成すのか。「難しいけど面白い」、そう語ってくださった二代目代表取締役 松尾修さんにお話を伺いました。
元は製薬会社の営業でした
当社は僕の義父である公文代が創業した会社です。もともと地元で農家をやっていたそうなのですが、一念発起して不動産をやり始めたと聞いています。当時の社名は「公文代」が「成功する」から字をとった「公成」の表記でした。
僕が義父から「手伝ってほしい」と言われて入社したのが平成7年のこと。もともと製薬会社の営業マンだったので、妻と出会わなければ現在の僕はないと思います。今にして思えば、お医者さん相手に仕事をするのは貴重な体験になりましたね。
そんな右も左もわからない業界で「まずは土木をやれ」ということで、仕事の基礎となる「測量」を覚えるために一年間専門学校に通いました。その後は不動産、営業と幅を広げて、自分で分譲企画も考えるようになりました。
時代はバブル前夜、やればやるだけ仕事があったんです。不動産だけではもったいないということで、義父の弟さんが建築事業も開始しました。そして公成〜〜と冠がついた会社が、いくつも派生していきました。
平成18年には僕が社長を継いだのですが、その時に「好きなようにやりなさい。社名も変えていい」とお言葉をいただきました。でも僕は公成の歴史を踏襲した社名にしたかったので、ローマ字表記の「KOSEI」としたわけです。さらに公成〜〜での事業も一つにまとめて、現在の当社の基礎ができました。
なにか困っていることがことがあったら、すぐ駆けつける
木津川市という土地は京都・大阪と繋がるベッドタウンです。この利便性の良い場所で、これまで住宅を2000棟は手がけてきました。管理顧客はリフォームも含めると、1800棟くらいです。事業としてリフォームを始めたのは僕の代からで、OB様の割合が7〜8割を占めています。市の人口が約4万人くらいですので、割合から考えると本当に大切に思いますね。
創業以来「木津川といえばKOSEI」という看板を作り上げてきましたが、それもやはりお客様があってのこと。先代も「OB様を大事にせないかん」「全部回れ」ということで、社員を走らせたそうです。結果、苦情ばかりで担当が泣かされるという事態になりました(苦笑)。
それでも辛抱強く続けた今では、お客様と良好な関係を築くことができるようになりました。分譲がメインの会社でOB様までお付き合いが続くことって、なかなかないことだと思います。おかげさまで当社の受注は、お客様からの紹介が50%を超えているんですよ。実際、年に一度開催している「お客様感謝祭」には毎年700人くらいの来場があります。その時はKOSEIスタッフ総出で、おもてなしをさせていただいています。
住宅産業はどんどん人口が減っていくと言われていますが、僕は「地域の方との接点」「人間関係」こそが基軸だと考えています。たとえばお客様がなにか困っておられたら、すぐ駆けつけることです。ですので、僕がやっているのは建築業というより、サービス業だと思っています。それも、子供や孫の代まで続くお付合いです。
どんどん新しい風を入れていきたい
これからは新しいことにも、どんどんチャレンジしていきたいです。当社はながらく分譲がメインでしたが、注文住宅やリノベーションにも力を入れていくつもりです。今の若い世帯の要望をきちんとヒアリングするためにも、会社外部の人たちとセッションしていくことも有効な手だと思っています。
会社というものは、時代に対して柔軟に変化していかなければなりません。「インスタ映え」という言葉があるように、今は性能を謳うだけではアピールしづらい。ですので「見栄え」は非常に重要視しています。とくに女性視点での「かわいい」「かっこいい」の二大キーワードなしでは考えられませんね。そこを入り口として、男性が興味を持ちやすいZEH(ゼッチ)など性能の話につなげていきたい。
今でこそ社長業に専念していますが、数年前まで営業も兼ねて仕事をしていました。それは、お客様から生の声を聞くためです。今でも本社を訪ねてくださったお客様には、僕が対応するようにしています。やはり答えは現場にこそあるものです。
腕の良い大工とリノベーション
リフォームだけでなく、「リノベーション」まで提案できる会社になりたいと思います。そのためにはお客様へ提案するための、「アイデア」が必要になってきます。と同時に、それを実現するための「確かな腕」も必要です。幸いにも当社には自慢できる大工が揃っています。それこそ、親子二代の付き合いになる信頼関係も築けています。
少し脱線しましたが、今の時代は新築だけが選択肢ではないということです。若い世代の中には、「安く古い家を買って良い感じにリノベーションする」という考え方が広まってきていると感じています。
中古でも土地次第では銀行からお金を借りることも可能です。そういったノウハウも込みで見つけた物件を、素敵にリノベーションして安価でもう一度売り出すという手法はもう始めています。
とはいえまだまだ年間受注数は少ないので、これからにいかにしてお客様に興味を持っていただくかという点が僕たちの宿題ですね。
オープンハウスは、お客様のOKが出ればどんどんやっていきたいです。実際に暮らしているOB様に話していただけると、やっぱり伝わりやすいですよね。時には新規のお客様と一緒に、OB様のお宅にお邪魔することもあります。新しい繋がりも、受け継いだ繋がりも大切にしていきたいです。
取材:2018年7月30日
社名 | 株式会社KOSEI |
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住所 | 〒619-0202 京都府木津川市山城町平尾三所塚77-3 |
TEL | 0774-86-4840 |
URL | http://kosei-home.com/ |