建築業界の
“ダンドリ”をIT化し
家づくりをサポート
読んで字のごとく、スムーズに効率よく、ムリやムダなく、高品質な家づくりをするために、ITによるダンドリで工務店を支える会社です。ストレートでわかりやすい社名です。この会社を立ち上げ、全国をスニーカーとリュック姿で走り回っている超多忙な加賀爪社長を捕まえ、インタビューしました。
建築現場の危機感から
ダンドリを支えるソフトを開発
彼は以前、建築・不動産会社の社長でした。その仕事はいくつもありますが、まずは着実に利益をあげ、関わる人たち、お客様はもちろん、社員、出入りする業者や職人に喜ばれる会社を作ることです。しかし競争が激化し、町の工務店にとっては非常に厳しい時代。生き抜くために彼も他の例にもれず、納入業者や職人さんを呼びつけてコスト削減を要求していました。でも常に「何か違う。このまま続けたらタコがタコの足を食うように、支えてくれる人たち、プライドと責任を持った職人がいなくなる。このままではいけない」と感じ、日々を過ごしていたそうです。
そんな時、現場でスマホを使って状況を連絡し合っている光景を見ました。みんなおぼつかない様子でやりとりしている……。そこで彼は、工務店にとっても、業者にとっても、職人にとっても使いやすい、誰もが使いこなせる仕組みを作ってやろうと試行錯誤し、「ダンドリワーク」のソフトの原型を完成させました。
入口はITでも超アナログ!?
ユーザーは全国に5万人
そして今、工務店さんからの問い合わせを受けて全国を走り回っているわけですが、最初は大工さんや瓦屋さんや左官屋さんらのアレルギー反応があり、「こんな面倒なもの使えるか、バカヤロー!」という言葉を浴びせられるそうです。
似たソフトは数社から出ていますが、彼は現場を誰よりも知っています。現場をいかに楽しく、活気のあるものにするかに心を砕き、その必要性がわかってもらえるまで徹底的にフォローします。「ダンドリワーク」の他と異なる点がここです。ソフトを使いこなした工務店さんからは「現場に活気が戻った」「利益も改善された」という声があがっています。
彼は「ネットはツールに過ぎず、使いこなして初めて価値が出ます。それゆえ使いこなす人を徹底的にフォローする。入口はITですが、やっていることは超アナログです」と言います。
「手間暇がかかって大変でしょう?」と問うと、「とことん話し合うのが私の仕事。現場から職人がいなくなっている現状を考えると、元工務店の社長としてこれをやり遂げなければならないという、仕事以上の強い使命感のようなものを感じています」という返答
2017年12月現在、彼のアカウントには全国5万人ものユーザーがいるというから驚きです。それだけ歩き回っているのです。だから革靴ではなく、スニーカーとリュックが必要なのです。 「チームワークとコミュニケーションのある現場が一番楽しい。そして、そんな人が集まった現場ではいい建物ができる」。そう言う彼は大きな意味で、政府が進めている働き方改革の、建築業界現場での第一人者ではないかと思います。
まだまだ若い加賀爪君。ITを使いこなす超ローテク人間の、今後が楽しみです。
ダンドリワークスで
作業効率UP!!
近年、建築業界にもようやくIT化の波が押し寄せている。しかし、実際にITを使いこなしている工事現場はまだ少ない。 建築現場では、大工、左官、塗装、内装など、さまざまな専門工事業者が行き交う。現場を統括する現場監督はそれぞれの工程を取り仕切ることになるが、その連絡方法は未だ多くが電話やFAXといったアナログな手段で行われ、時間的ロスに加えて作業の重複、ミス・漏れが発生しがちである。
なぜ建築業界のIT化はこんなにも遅れているのか。その背景には、元請け担当者や職人のITリテラシーの低さが挙げられる。
「段取り八分」と言われ、仕事の8割は段取りで決まる。「ダンドリワークス」のクラウド型コミュニケーションツールは、建築現場の「段取り」をスムーズにし、従来の「ムリ・ムダ・ムラ」を解消する発想から生まれた。すべての情報を一つのクラウドに一元化し、工事に携わる誰もが同じ情報を共有し、伝達し合えるシステムだ。
使いやすさを重視し、機能はシンプルに。業界唯一の独自システムとして、作業指示を出す上位職人の「親方」だけでなく、「子方」「応援」という下位職人にまでアカウントを発行し、密接なコミュニケーションが築ける機能を付与した。
しかし最も重要なことは、ITリテラシーが低い職人たちにいかにして「ITシステム」を活用してもらうかである。それには職人やお客様と直に向き合い、その会社に合った運用スタイルで操作方法や詳細説明を粘り強くフォローする「人」の力、要はアナログ部分が欠かせない。全てがITで補えるとは考えていない。一貫して大切にしている部分こそ、この「アナログ」である。
当社では、システム導入の元請け企業に対して、社長や一部の役職者だけでなく、全社員を対象にした操作方法の説明会を行う。さらに職人や協力会社向けの説明会を開催、ITに馴染みの薄い高齢の職人たちには初期的な内容から丁寧にサポートし、システムの活用が職人自身にメリットがあることを訴求する。その後も24時間体制でチャットや電話で質問等を受け付け、システムが浸透するよう徹底している。
ダンドリワークスの代表は住宅建築会社を経営し、スタッフもほとんどが住宅建築系に属していたため、実際の工事現場で起こりうる問題を熟知している。とことん使う人の立場に立てることが、ダンドリワークスの強みだ。現在、全国の新規契約社数は月毎に増加、知名度が急上昇している。
プラットホーム・ビジネスの
構築建築業界のイノベーターとして
アカウント数のさらなる増加を目指すため、サービスの拡充も始めた。通常は職人たちが個別に用意する道具や資材を必要なタイミングで必要な場所に安く届ける通販サービス「ダンドリストア」。また、職人の労災加入状況をクラウド化するデータベース「ダンドリシート」、職人のスキルや経験、実績、仕事の状況をクラウド化する「ダンドリマッチング」など、建築業界の新たなプラットホームを構築し、様々なサービスを提供し続ける。
“本当に必要なサービス”を提供することに、知名度はそれほど必要ではない。大手ハウスメーカーでなくとも、地域に特化した建築家や優れた技術を持つ工務店が、お客様の夢を叶える素晴らしい家を建てている。「みてみてオープンハウス」はそういった建築家や工務店の集客に一役買う存在である。大手ポータルサイトにはない独自の取組みは本当に共感できる。
「ダンドリワークス」のミッションも同様。地域に根差した建築業界の人、モノ、情報の総合プラットフォームとして、職人たちを支え続ける存在でありたい。