プレカットとは?

プレカットとは?
Wikipediaには、以下の様に書かれています。

プレカット(precut)とは、一般に、何かの生産工程において「あらかじめ(pre)切断する(cut)」ことを意味する動詞である。住宅建築における木工事部分について、現場施工前に工場などで原材料を切断したり加工を施しておくこと。

と、あります。

プレカット

私たちが携わる木造住宅に置いてこの「プレカット」は、現在ではなくてはならないものとなっています。というのも、従来木造住宅(在来工法)というものは、骨組みとなる、木材を大工さん達が材木屋さんより買付、自分の作業場で手作業で加工していました。

元々古くから伝わる伝統的な木造軸組構法を使い、建築現場にて組み上げて骨組みを完成さるという工程をやってきました。これのうち手作業で行う部品の加工を簡略化、発展化させ、事前に工場で済ませるやり方にしたのがプレカット工法です。

高度経済成長の中、効率化とオートメーション化が進み、更には、職人の減少が拍車をかけて、工場で加工を行うプレカットは、1990年頃から急速に普及して行きました。

このプレカット業を行う会社は、元々は材木商や材木問屋をやっていた会社が多かったです。当初は、材木屋が大工の仕事を取るのか?と非難もありましたが、大工さんの減少と需要の拡大が、より一層プレカット拡大を後押しして行きました。

今では、90%以上がプレカット加工になっていると言われます。

プレカット

プレカット加工のメリットとデメリット

メリット

  1. 工期短縮今まで大工さんが全て手作業で行ってきた木材の加工を事前に機械加工にて行うため、工期がかなり短縮されました。通常大工さんが手作業で行うと加工完了まで、大小家の大きさによっても異なりますが、数か月~半年以上掛かることもあります。
    しかしこれをプレカット加工ですと、加工だけで言えば1日~2日で済んでしまいます。
  2. 加工精度と安定品質の向上手作業ですと大工さんの腕前のレベルに応じて加工品の精度や品質にばらつきが出てきてしまいます。その点プレカット加工はコンピュータ制御で機械で加工しますので、安定した品質が保たれます。
  3. コスト削減工期短縮により人件費の削減になります。更に、現場での加工による廃材の処分費の削減にもなります。

プレカット

デメリット

  1. プレカット工法は、伝統的な工法を、簡略化、発展化させたため、継ぎ手や仕口は単純なものとなり、複雑な加工は難しいとされています。複雑な加工にも対応している機械も出てきていますが、まだ広く普及はされていないです。
    ただ機械の性能は日進月歩ですので、数年前までは難しくて出来なかった加工なども今ではオートメーションで出来る様になってきています。
  2. 木は生き物です。ですから、それぞれ個性があります。一本として同じ材料はないと言えます。その千差万別の材料の良し悪しを、昔は経験豊富な大工さんが、それぞれの個性を見抜き、用途に合わせた使い方を考え、活かして使用してきました。
    しかし、プレカット工法では、ひとくくりに同等の品質の「材料」として加工してしまうので、それぞれの個性を活かすという考え方はあまりありません。ただ、今でも大工さんのその知識と経験による、品質と用途の選定技術は、一部のプレカット工場には、伝承されています。
  3. メリットで「加工精度と安定品質の向上」と言いましたが、本当に優れた匠と言われる様な伝統技術を持った大工さん、「宮大工」と呼ばれる様な方々の加工精度には、実はまだまだプレカット加工は到達していません。一般的な住宅に必要なクオリティで、問題が無い程度の精度はもちろん有していますが、先ほど述べたように、素材となる木材が、一つとして同じものが無いというような、「生きているもの」なだけに、機械金属の様なミクロの世界の精度を出すのは、今の科学技術では不可能に近いです。

プレカット

株式会社シンホリ

佐藤寿也

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