「家族信託」という言葉を、最近テレビや新聞などで耳にするようになった方もいるかもしれません。家族信託とは、自分の信頼できる家族・知人に、財産の管理を託すための仕組みです。特に、高齢の方の認知症に対する対策として、注目を集めています。ここ数年で急速に広まっており、最近では、NHKのクローズアップ現代やあさイチといった番組で特集が組まれるなど、この高齢化社会の中で大きく期待が高まっている手続きといえます。
当事務所でも、家族信託・民事信託に関するご相談・ご依頼が多くなっています。ご両親が病気や認知症になってしまった場合に、財産が凍結されてしまうということに不安を感じて、事前に準備しておこうという方が増えているようです。
家族信託の手続き
家族信託の手続きのイメージは、賃貸アパートを管理会社に管理してもらうようなイメージです。たとえば、父親が持っているアパートを、子どもに対して信託して財産を預け、管理してもらいます。その賃貸アパートからの収入(賃料)については、父親が受け取ります。
この例で、財産を預ける側の父親が委託者であり、財産からの収益を受け取る受益者となります(委託者兼受益者)。そして、管理を任される子供が、受託者となり、家族信託の契約を締結します。
この家族信託の良いところは、実質的な権利(賃料を受け取る受益権)については、父親が持ったままで、名義上の所有権は、信託による所有権移転という形で、子どもに移転するという点です。名義が子供に移転することにより、仮に父が認知症になって意思判断ができない状態になってしまったとしても、財産の凍結を防ぐことができるのです。
家族信託での認知症の対策
家族信託で最もご相談が多く、ニーズがあるご相談は、認知症に対する備えとしての家族信託です。
親が認知症になってしまうと、意思能力がなく契約が締結できなくなるため、家を売却しようとしても自由に売ることはできなくなりますし、預貯金をおろすこともできなくなってしまい、実質的に財産が凍結されてしまう状態になります。
父親が認知症で施設に入るということになったため、今まで住んでいた実家を売って施設の費用や病院の費用に充てたいと思っても、認知症だとすぐに売ることはできず、裁判所で後見人を選任してもらい、裁判所の許可を得たうえで、売却の手続きをとる必要があります。
また、相続対策として資産の組み換えをしたいというようなこともできなくなってしまいます。
これから、家族信託が、万が一のときの「保険」と同じような役割を果たし、認知症のリスクに備えるために家族信託を準備しておくというご家庭が増えていくでしょう。
家族信託の可能性
家族信託では、従来の民法では実現できなかったことも実現できる可能性があります。
例えば、
・先祖代々引き継がれてきた家を、直系の孫に残したい(遺言の代用信託)
・高齢の親が再婚する際の相続問題(再婚のための信託)
・飼主が高齢で残されるペットのための家族信託(ペットのための信託)
・障がい者の親が亡くなった後の問題(福祉家族信託)
・会社の事業承継の問題(事業承継信託)
といった問題が、家族信託で解決する道が広がります。
家族信託についてご検討の方は、名古屋家族信託相談所までご相談ください。
http://kazoku-shintaku.org/
当事務所ほか家族信託に詳しい各専門家が運営しています。家族信託は、力を入れて取り組んでいる専門家の数が少なく、しっかりとした知識と経験を持った専門家にご相談いただくことが大切です。是非お気軽にご相談ください。
司法書士法人 はらこ事務所
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